6年前にこの作品と出会い思い続けてみえた
お客様が新居に飾られることになりました。
お客様の心に残る作品はそれぞれですが、
いつか手元におきたいと願っているときっと
再開できるものですね。
ステップド・ゲイブルズ ～Ｓｔｅｐｐｅｄ Ｇａｂｌｅｓ～
ベルギーの古都ブルージュに5日ほど滞在したおり街の中心にあるマルクト広場のカフェに何度も
足を運んだ。
１３～１５世紀頃の建築と思われるギルドハウス（かつての商工会の建物）が並んだ辺りは、今は
レストランやカフェとして営業している所が多い。
ただ、その広場の真ん中は広い駐車場になっていて、少々興ざめで、残念な風景となっている・・・。
見る度に「花や木々にあふれた公園にでもすればよいのに」と思わずにはいられなかった。
そこから、ギルドハウスのとても特徴的な階段状切妻屋根（Ｓｔｅｐｐｅｄ Ｇａｂｌｅｓ）をスケッチした。
つい面白がって空までその階段のラインを延長させてみたのがこの作品の始まりだった。
あちらこちらの屋根の線を延ばしていくとそれは段々モザイクの様になり、ぬり絵をする様に思い
ついた色を入れていくと、光の表現法として使えるかもしれないと思いつき色面構成を試みた。
映像処理では得られない独特のモザイクが描き出せたので、夢中で何度も何度も色を塗り替え、
試行錯誤の末ようやく完成にたどり着けた。
こういったチャレンジ作業の中には、画家にとって心をわくわくさせる何かが常にある。
笹倉鉄平